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仲田利津子 History 1980年 – 1990年

先生たちのための会をはじめる

一体どのようにすれば、生徒が自然に英語を口にするようになってくれるのだろう、と私は真剣に考えていました。

その頃、AETC (Association of English Teachers of Children)という児童英語を教える先生の会に参加する機会がありました。それは、キャミー・コンドン氏によって立ち上げられた、日本で最初の児童英語のための実践的なワークショップを行う会です。しかし翌年にコンドン氏がアメリカに帰国することになったため、代わりに私が代表を引き継ぎました。そして東京と大阪で日本の子どもに英語を教える先生のためのワークショップを開き、たくさんのすばらしい講師を招いて彼らの専門的な知識を広めていきました。AETCでは23年間、ボランティアとして活動を続けました。

MATメソッド® の始まり

AETC での活動を通して、わかってきたことがありました。それは、生徒たちは英語でゲームをしたり歌うことは大好きなのですが、ゲーム以外のレッスンをすると退屈してしまうので、先生たちは困っていたのです。

私は生徒に様々な手法を試みました。TPR(Total Physical Response アクションを通して学ぶ英語教授法の一つ)も取り入れました。私自身はその時は、TPR をしていると思っていたのですが、私の生徒たちは、発話をして、質問したり答えたりを生徒同士でしあっていたのです!TPR教授法では、子どもたちには発話をさせません。私が図らずも行っていたことは、「ジェスチャーやアクションを使いながら、同時に発話させる」ということでした。だから私はそれを『 MAT(Model, Action, Talk®)メソッド』と名付けました。

この MATメソッド®を使うことで、生徒たちは、授業の80%を話し、読み書きを学び、自分たちで進んで学ぶようになったのです。

私はゲームだけでなく、「本当に身につく英語の教え方」を先生たちに教えることに決めました。

そして、生徒たちが効果的かつ楽しく、生きた英語を身につけるための教授法を先生たちに指導するために、新たな組織としてIIEEC英語教師トレーニングセンターを設立しました。

教材作りに尽力する

一方、テキストの出版の方もこのころ手がけ始めました。ASK という出版社から『Happy Talk』というシリーズのワークブックと先生向けの指導書作成の協力依頼がありました。

『Happy Talk』はカセットテープ(音声)つきの、かわいらしい短いお話で構成されていました。

コアジュニアクラブ(東京児童学院)の指導部部長になったのもこのころです。日本全国を出張しては英語の先生に教授法を指導しました。当時の先生がたの中には、現在も MAT メソッド®を使いながらご自身の英語教室を運営している方もいらっしゃいます。(さらに今度は、かつて MATメソッド®で英語を学んだ生徒たちが英語の先生になり、MATメソッド®を学ぶためにセミナーに参加してくださっています!)コアジュニアクラブでは、6レベルのテキストと先生のための指導書を書きました。

またこの時期に、語研の『ABCランド』と『ABCプレイルーム』という幼児向けのテキストを MATメソッド®に基づいて作りました。この2冊はそれまでに私が書いたものの中でも、特にお気に入りのテキストです。その後、アストロ教育システムズから、上級生向けのテキストとして、3レベルからなる『English Shuttle』という、子供が興味をひくマンガで構成されたテキストも手がけました。

さらに、アメリカのアジソンウェスレイ出版社から『Addison Wesley Picture Dictionary』の執筆について相談がありました。レイアウトや内容、そしてキャラクターの小さなねずみとストーリーの組み立ては私のアイディアで作られたのですが、嬉しいことにアメリカの絵付き辞書として No.1ベストセラーになり、英国版も出版されることになりました。その後日本語版として、音声テープをつけ、私の書いたオリジナルソングの入った『Addison Wesley Picture Dictionary Pack』というものを販売。さらに中国語版も作られました。

MATメソッド® についての著書『こうして教える子どもの英語』もこのころから書き始めました。私は、何を教えるべきなのか、というよく書店で見かけるような内容の本ではなく、先生のための教え方を示す内容の本を書きたかったのです。どうやったら普段の教室でやっていることを ‘少し工夫するだけ’で、いとも簡単に、よりたくさんのことを教えられるかを、この本で伝えたかったのです。イラストや写真を使い、効果的なカードの持ち方からめくりかた、そして本当に生徒が身につけるために、いかにカードを面白く効果的に活用していくかなど、ひとつひとつ段階的に書きました。また、時制や不定詞や副詞などが、多くの説明なしにどうやって簡単に教えられるかも書かれています。ジェスチャーや音の引き算を使う、ユニークな MAT PHONICS もここで紹介されています。

最小限の先生の日本語で、最大限に生徒の英語のアウトプットをひきだす KEY WORDS と呼ばれる単語も教えています。さらに、レッスンプランの立て方や教え方までわかるように、詳しいレッスンプランもここで紹介しています。

この10年は、子供に英語を教え、先生を指導し、国内を飛び回り、英語学校のための教科書や指導書を書くなど、忙しく実りの多い10年でした。 この仕事をとても寛大に支えてくれた私の夫、娘たち、また、のちに LET’S GO のテキストで大活躍することになる、2匹の猫たちに心から深く感謝をしています。

オフィステクノロジーの変化の10年 1990-2000
『こうして教える子どもの英語』