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命日に寄せて|なぜ今、MATメソッド®なのか

母・仲田利津子(MATメソッド®考案者/IIEEC創設者)がこの世を去って、今年で5年になります。
命日を迎えるにあたり、あらためてMATメソッド®について考えてみました。

子どもの目を輝かせる教材

母がつくる教材には、子どもらしい優しさ、そして子どもが思わず夢中になる工夫が散りばめられていました。
英語を学ぶ道具である教材が、常に子どもたちにとって楽しく学べるものになるよう願いが込められていたのだと思います。

35年前の実践が、今の研究で裏づけられている

母が子どもたちのために考え出した「Model Action Talk®」というメソッドは、当時はまだ新しい試みでした。
しかし今では第二言語習得研究の観点からも、その効果が裏づけられています。

  • Output の重要性 ― たくさんの発話こそが言えるようになる力を育てる。少ない発話では定着しにくい。
  • 反復と定着 ― 時間をあけて何度も繰り返すことで、記憶にしっかり残る。
  • インタラクションの役割 ― 子ども同士のやり取りを通じて、自主性とコミュニケーション力が育つ。
  • 誤りの化石化防止 ― 間違った言い方を繰り返すと定着してしまうため、間違いに気づかせ自然に修正する

最新研究から見ても理にかなっているMATの特徴

  • 意味重視のアプローチ(REMEMBER:文法の暗記ではなく、子どもにとって意味のあるやり取りを重視
  • 身体的動作の活用(Using GESTURES:ジェスチャーやアクションで脳を活性化し、記憶を助ける
  • 学習者主導の実践(Student-to-Student TALK:生徒同士の対話を通じて自主性を育む
  • 技能統合(Four Skills:聞く・話す・読む・書くをバランスよく身につける
  • 短時間集中学習(6-second DRILL Games:テンポのあるドリルで効率的に定着
  • 自然な言語使用(Living English:リズムやイントネーション、発音、スピードの伴った「生きた英語」を教える

こうした研究の視点から見ても、MATメソッド®は「昔のやり方」ではなく、今も通用する「普遍の教授法」といえそうです。

MATが築く「学びの土台」

MATメソッド®の役割は、英語の最初の出会いを「楽しい・言えた!」という成功体験にすることです。
can, every day の現在形から始まり、like to, want to, have to、過去形、未来形、そして質問文や否定文へ。子どもたちはジェスチャーやカードを使いながら、自然に表現を身につけ、生徒同士でやり取りをしていきます。

この土台がしっかりできることで、子どもたちはその後、ジェスチャーがなくても自分の力でどんどん英語を積み上げられるようになります。

今なお、学んでくださる先生方

現在も、MATメソッド®を学び、現場に活かしてくださる先生方が全国にいらっしゃいます。
30年前に学び、別のキャリアを経て再び英語教育に戻られた方。
考案者の思いをそのまま受け取れる動画講座から初めてMATメソッド®を知ってくださった方。
生前の母をご存じで、その理念を引き継いでくださっている方。
そのような先生方の実践の中で、MATメソッド®が生き続けていることに、心から感謝申し上げます。

おわりに

華やかではなくても確実に成果を生み、地道だけれど本当に大切な学びを支える指導法。

母が大切にしたことは、研究に支えられ、そして多くの先生方の実践の中に生き続けています。
それは、この5年間、私を支えてくださった大切な方々にとっても、大きな喜びであります。

母の願いは、日本の子どもたちに“英語を話せる楽しさ”を届け、やがて世界の架け橋となることでした。
その願いを胸に、5年目の命日を迎えます。