「子どもたちをもっとネイティブのように自然に発話させるレッスンをしたい。」
レッスン中にそう思う一方で、実際にはMATメソッド®の反復練習やドリルをしていると「これは不自然なのでは?」と感じてしまうことはありませんか。
そのような理想と現実の間で揺れたり、焦りを感じる先生もいらっしゃることと思います。
英語の「自然さ」はどこから生まれるのか
MATメソッド®は確かに「型」や「やり方」を大切にします。しかしそれは、子どもたちが英語で考え、話し、やり取りするための基盤を築く大切なプロセスです。
小学校の授業で「ネイティブの先生と話してごらん」と言われ、カタコトや不完全な表現でもとりあえず褒められることがあります。もちろんそれも大切な成功体験ですが、MATメソッド®考案者の仲田利津子はそれだけでは不十分だと考えました。
彼女は日本人の子どもたちが少しでも知的で正確な英語を使えるように、先生方に「最初からフルセンテンスで教える」ことを厳しく指導してきました。
たとえば「dog」や「ball」と単語だけを言っても、
- 犬を見つけたの?飼っているの?ほしいの?
- ボールが欲しいの?遊びたいの?落ちているの?
と、意味は定まりません。しかも「dog」を「ドッグ」や「ドック」、「ball」を「ボール」と日本語風に発音してしまうと、本来の音から外れてしまい、相手に伝わらないことも多いのです。
大人の場合も同じです。よく耳にする話に、日本人旅行者が海外で「coffee」を注文しても通じず、代わりに「cola」が出てきてしまった、というものがあります。
それくらい、正しい音で、しかも文の形で伝えることは大切なのです。
だからこそMATメソッド®では、正しい音とともにフルセンテンスで導入し、知っている英語の“引き出し”を増やすことを重視します。
本当の「自然さ」とは、正しい引き出しを何度も繰り返し使い、やり取りを積み重ねた先に、自分の言葉として自在に使いこなせるようになった状態です。
基本の形をしっかり身につけてこそ、必要に応じて崩しても通じる “自然な英語” へとつながるのです。
指導の奥にある考え方まで理解すること(質的理解)が欠かせない
MATメソッド®は一見シンプルですが、その型の実践は、先生自身が指導の奥にある考え方まで理解すること(質的理解)に支えられています。
- 正確な音の導入
- DRILLのテンポやリズム感
- 間違えた時のさりげない訂正のしかた
- TELL(自由に発話させるセクション)のファシリテーション
これらの技術は、表面的に真似るだけでは機能しません。先生が「なぜこの順番なのか」「どうしてこの練習が必要なのか」「なぜこのようにやるのか」という考え方まで理解し、レッスンを重ねてこそ、子どもの英語が “本物の自然さ” につながるのです。
なお、MATメソッド®は機械的なドリルだけではありません。レッスンのTELLという短時間のコーナーで、子どもたちが自分の言いたいことを自発的に話す時間が必ず組み込まれています。それについては、追ってご紹介したいと思います。